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システムの信頼性指標の基礎知識を理解しよう!|コンピュータシステム・基本情報技術者試験

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|はじめに

 コンピュータシステムの信頼性とは、システムが正しく機能する確率や、障害が発生した場合の復旧時間などを数値化したものです。信頼性の高いシステムは、ユーザーの満足度やビジネスの効率化にも貢献します。しかし、信頼性を評価するには、様々な指標や計算方法が必要です。この記事では、コンピュータシステムの信頼性指標の基礎知識を紹介します。

 基本情報技術者試験にも出題される内容ですので、ぜひ参考にしてください。

 

 

1.システムの信頼性とは

 システムの信頼性とは、システムが正常に稼働し、故障や障害に対して回復力を持つことを指し、信頼性を高めるためにシステムの設計、開発、運用、保守などの各フェーズで、信頼性に関する要求や目標を明確にし、それに応じた手法やツールを適用する必要があります。

 システムの信頼性が低い場合、システムがダウンして業務に支障をきたしたり、情報漏洩などのセキュリティ問題が発生したりする可能性があります。

 システムの信頼性は、システムの品質や安全性、コストや効率などに大きな影響を与える重要な要素で、評価するために様々な指標が用いられています。

 

 

2.信頼性を表す「RASIS

 システムの信頼性を表す指標には、さまざまなものがありますが、その中でも代表的なものに「RASIS」があります。RASISとは、Reliability(耐障害性)、Availability(可用性)、Serviceability(保全性)、Integrity(完全性)の頭文字を取ったものです。

 これらの要素は、システムの品質や性能を測るために重要な指標です。RASISを用いて、システムの信頼性を評価することで、システムの改善点や目標値を設定することができます。

 

①信頼性(Reliability)

 信頼性(Reliability)とは、システムが要求された機能を、要求された時間、要求された条件のもとで、要求された精度で提供できる確率を示すものです。

 信頼性が高いシステムは、故障や不具合が少なく、安定して稼働することができます。一方、信頼性が低いシステムは、故障や不具合が発生しやすく、業務に支障をきたしたり、情報漏洩などのセキュリティ問題が発生したりする可能性があります。

 

②可用性(Availability)

 可用性(Availability)とは、システムが正常に稼働している時間の割合を示す指標です。可用性が高ければ、システムがダウンする可能性が低いことを意味します。

 可用性は、システムの信頼性を評価する指標の1つです。信頼性を高めることで、システムのダウンやセキュリティ問題などのリスクを低減することができ、次のような式で計算できます。

可用性=(稼働時間)/(稼働時間+停止時間)

 可用性はパーセントで表されることが多く、高いほどシステムの信頼性が高いと言えます。一方、停止時間が長くなると、可用性は低下し、システムの信頼性が低いと言えます。したがって、システムの設計や運用においては、停止時間を最小限に抑えることが可用性の向上につながります。

 

③保守性(Serviceability)

 保守性(Serviceability)とは、システムの故障や不具合を修復する際に、必要な時間やコストを示す指標です。保守性が高ければ、システムの故障や不具合を迅速かつ効率的に修復することができます。信頼性を高めることで、システムのダウンやセキュリティ問題などのリスクを低減することができ、以下のような要素が重要です。

ドキュメントの整備:システムやソフトウェアの仕様や設計、テスト、運用などに関するドキュメントを作成し、保守担当者が容易に参照できるようにする。

コードの品質管理:コードの可読性や再利用性を高めるために、コーディング規約やレビューなどの品質管理を行う。

テストの自動化:テストを自動化することで、修正や改善の影響範囲を確認し、不具合の発生や再発を防ぐ。

バックアップとリカバリーの計画:システムやソフトウェアのデータや設定を定期的にバックアップし、万が一の際に迅速にリカバリーできるようにする。

 

④完全性(Integrity)

 完全性(Integrity)とは、情報やシステムが正確で一貫していることを指します。完全性を保つことは、信頼性の高い情報やシステムを提供するために重要です。完全性を損なう要因には、誤った入力、不正な操作、故障、災害などがあります。

 完全性を確保するためには、入力の検証、操作の承認、データのバックアップ、復元のテストなどの対策が必要で、情報セキュリティの基本的な要素の一つであり、機密性や可用性と並んで重視されます。信頼性を高めることで、システムのダウンやセキュリティ問題などのリスクを低減し、業務の継続性や情報セキュリティの向上に貢献することができます。

 

⑤機密性(Security)

 機密性(Security)とは、情報が正当な権限を持つ者以外には開示されないことを保証する性質のことです。機密性を確保するためには、暗号化やアクセス制御などの技術的な手段や、秘密保持契約や教育などの組織的な手段が必要です。機密性が侵害されると、情報の所有者や利用者に対して、経済的な損失や信用の低下などの被害が発生する可能性があります。

 機密性は、信頼性を高めることでシステムのダウンやセキュリティ問題などのリスクを低減し、業務の継続性や情報セキュリティの向上に貢献することができます。

 

 

3.システムの状態(信頼性と保守性)

 システムの状態とは、システムが期待される機能や性能を満たしているかどうかを表す指標で、信頼性と保守性の二つの側面があります。

 信頼性とは、システムが故障や障害なく正常に動作する確率や時間を表す指標です。信頼性が高いシステムは、長期間にわたって安定してサービスを提供できます。信頼性を評価する方法には、故障率や平均故障間隔MTBF)、平均修復時間(MTTR)などがあります。

 保守性とは、システムが故障や障害に対して修復や回復が容易であるかどうかを表す指標です。保守性が高いシステムは、故障や障害が発生した場合にも迅速に復旧できます。保守性を評価する方法には、修復率や平均修復時間(MTTR)、平均停止時間(MDT)などがあります。MTBFMTTRを組み合わせると、稼働率や可用性を計算することができます。

 

MTBF(Mean Time Between Failures:平均故障間隔

 MTBF(Mean Time Between Failures:平均故障間隔)とは、ある機器やシステムが故障するまでに通常稼働する時間の平均値のことです。MTBFは、信頼性や品質の指標としてよく用いられます。

 MTBFは、「MTBF = 1 / λ」という式で表されます。ここで、λは故障率を表すパラメータです。故障率が低いほど、MTBFは長くなります。MTBFの計算は、過去の故障データに基づいて計算することができます。

 例えば、あるシステムで、過去1年間に10回故障が発生したとします。この場合、MTBFは1000時間となり、MTBF = 1 / λ = 1 / (10 / 1000) = 1000時間となります。

 また、MTBFは、信頼性試験に基づいて計算することもできます。信頼性試験とは、システムを一定の条件で稼働させ、故障が発生するまでの時間を測定する試験です。

 

MTTR(Mean Time To Repair:平均修復時間)

 MTTR(Mean Time To Repair:平均修復時間)とは、故障したシステムや機器を修理して復旧するまでにかかる平均時間のことです。MTTRは、システムや機器の信頼性や保守性を評価する指標の一つであり、一般にMTTRが短いほど、システムや機器の品質が高いと言えます。

 MTTRを低くするためには、故障の原因を早期に特定し、迅速に対処することが重要です。また、定期的な点検や保守を行うことで、故障の発生を予防することもできます。

 MTTRは、MTTR = TTR / N」という式で表されます。ここで、TTRは修理時間、Nは故障回数のことです。修理時間が短いほど、MTTRは短くなります。MTTRの計算は、過去の修理データに基づいて計算することができます。

 例えば、あるシステムで、過去1年間に10回故障が発生し、そのうちの6回は1時間以内に修理が完了し、4回は4時間以内に修理が完了したとします。この場合、MTTRは2.25時間となるので、MTTR = (6 * 1 + 4 * 4) / 10 = 2.25時間という計算になります。

 また、MTTRは、信頼性試験に基づいて計算することもできます。信頼性試験とは、システムを一定の条件で稼働させ、故障が発生した場合の修理時間を測定する試験です。

 

稼働率

 稼働率とは、システムが正常に機能する時間の割合を表す指標です。

 

 稼働率は、システムの品質や効率を評価するために重要な指標で、高い稼働率を維持するにはシステムの信頼性と保守性を高める必要があります。

 稼働率の計算は、「稼働率=(稼働時間/総稼働時間)×100」の式で表されます。

 例えば、一年間でシステムが故障やメンテナンスなどで停止した時間が36時間だった場合、稼働率は99.59%となります。

 ここで、稼働時間はシステムが正常に稼働していた時間、総稼働時間は、システムが稼働する予定であった時間のことです。

 

 

4.複合システムの稼働率計算

 複合システムの稼働率計算とは、複数のシステムが連携して動作する場合に、全体の稼働率を求める方法で、システムが正常に機能する時間の割合を表します。

 複合システムの稼働率計算では、各システムの稼働率と、それらのシステムが連携する確率を用いて、全体の稼働率を算出します。この計算は、システムの信頼性や可用性を評価する際に重要な指標となります。

 

①直列システムの稼働率

 直列システムの稼働率とは、複数の部品や装置が直列に接続されたシステムの信頼性や可用性を評価する方法で、各部品や装置の稼働率の積で表されます。

 例えば、A、B、Cの3つの部品が直列に接続されたシステムがあるとします。このシステムの稼働率は、Aの稼働率×Bの稼働率×Cの稼働率となります。

 このように、直列システムの稼働率は、各部品や装置の稼働率に依存します。したがって、直列システムの信頼性や可用性を向上させるには、各部品や装置の故障率を低くすることが重要です。

 

②並列システムの稼働率

 並列システムの稼働率とは、複数の部品や装置が並列に接続されたシステムの信頼性や効率を評価する方法で、各部品や装置の稼働率の関数として表されます。一般に、並列システムの稼働率は、単一システムの稼働率よりも高くなります。複合システムの稼働率計算は、工学や経営などの分野で応用されます。

 

③直並列システムの稼働率

 直並列システムの稼働率とは、複数の部品や装置が直列または並列に接続されたシステムの稼働率を求める方法で、システムが正常に機能する確率のことで、信頼性や可用性の指標として用いられます。直列システムとは、すべての部品や装置が一本の線上に並んでおり、一つでも故障するとシステム全体が停止するようなシステムです。並列システムとは、複数の部品や装置が同じ機能を持ち、一つ以上が正常に動作すればシステム全体が機能するようなシステムです。複合システムの稼働率計算では、直列システムと並列システムの稼働率の公式を組み合わせて利用します。

 

④2 out of 3系システム

 2 out of 3系システムとは、複数の部品からなるシステムの信頼性を評価する方法の一つで、3つの部品のうち2つ以上が正常に動作すればシステムが機能するという仕組みです。このようなシステムの稼働率は、各部品の故障確率や修理時間などを考慮して、数学的に計算することができます。この計算方法は、原子力発電所や航空機など、高い信頼性が求められるシステムの設計や管理に役立ちます。

 

 

5.バスタブ曲線(保守管理の目安)

 バスタブ曲線とは、機器や設備の故障率が時間の経過とともにどのように変化するかを示す曲線のことです。バスタブ曲線は、以下の3つのフェーズに分けられます。

・初期故障期:

 初期故障期とは、システムが稼働を開始して間もない時期に、初期不良や製造工程での不具合などにより、故障率が高くなるフェーズです。初期故障期には、初期不良や製造工程での不具合を早期に発見・対策することが重要です。そのため、初期故障期には、定期的な点検や検査を実施することが推奨されます。

・偶発故障期:

 偶発故障期とは、システムが正常に稼働している時期に、偶発的な要因により、故障率がほぼ一定になるフェーズです。偶発故障期には、故障原因を特定し、予防対策を講じることが重要です。そのため、偶発故障期には、故障データの分析や、故障原因の調査・対策を実施することが推奨されます。

・摩耗故障期:

 摩耗故障期とは、システムが長期間稼働して部品や材料が摩耗するなどにより、故障率が高くなるフェーズです。摩耗故障期には、部品や材料の劣化を監視し、適切なタイミングで交換・修理を行うことが重要です。そのため、摩耗故障期には、予防保全や定期的なメンテナンスを実施することが推奨されます。

 バスタブ曲線は、これら3つの段階を結合した形がバスタブに似ていることから名付けられました。バスタブ曲線を理解することで、機器や設備の寿命や保守管理の最適なタイミングを予測することができます。

 

 

6.システムの信頼性指標の重要性

 信頼性指標は、システムの設計や開発、運用において、システムの信頼性を評価する上で重要な役割を果たします。信頼性指標の重要性は、以下の3つの観点から説明することができます。

 

①業務の継続性

 システムは、業務を継続するために不可欠なものです。信頼性の高いシステムであれば、故障が発生しても、迅速に復旧することができるため、業務の継続性に影響を与えるリスクを低減することができます。

 

②コストの削減

 システムの故障は、業務の停止やデータの損失など、さまざまな損害につながります。信頼性の高いシステムであれば、故障が発生するリスクを低減することができるため、損害の発生を抑え、コストの削減につながります。

 

③安全性の確保

 システムは、人命や資産を守るためにも重要な役割を果たします。信頼性の高いシステムであれば、故障が発生するリスクを低減することができるため、安全性の確保につながります。

 

 

7.システム設計や運用における信頼性指標の活用方法

【システム設計における信頼性指標の活用方法】

 システム設計においては、信頼性指標を用いて、システムの信頼性を予測し、高めるための対策を講じることが重要です。具体的には、以下の方法が挙げられます。

 

①部品やソフトウェアの信頼性評価

 システムの信頼性は、部品やソフトウェアの信頼性に大きく影響されます。そのため、設計の段階で、部品やソフトウェアの信頼性評価を行い、信頼性の低い部品やソフトウェアを排除するなどの対策を講じることが重要です。

 

②冗長構成の採用

 冗長構成とは、同じ機能を複数のコンポーネントで実現する構成です。冗長構成を採用することで、1つのコンポーネントの故障がシステム全体の故障につながることを防ぐことができます。

 

③故障検知・復旧機能の導入

 故障検知・復旧機能とは、システムに故障が発生した場合に、迅速に故障を検知し、復旧する機能を指します。故障検知・復旧機能を導入することで、故障によるシステム停止の時間を短縮することができます。

 

【システム運用における信頼性指標の活用方法】

 システム運用においては、信頼性指標を用いて、システムの信頼性をモニタリングし、故障の兆候を早期に発見することが重要です。具体的には、以下の方法が挙げられます。

 

稼働率のモニタリング

 稼働率とは、システムが正常に稼働している時間の割合を示す指標です。稼働率のモニタリングを行うことで、システムの故障率を把握することができます。

 

②故障履歴の分析

 過去の故障履歴を分析することで、故障の原因を特定し、予防対策を講じることができます。

 

③予防保全の実施

 予防保全とは、部品やソフトウェアの劣化や故障を未然に防ぐために、定期的に点検や交換を行うことです。予防保全を実施することで、故障の発生を未然に防ぐことができます。

 

 

8.システム設計や運用における信頼性指標の注意点

 システム設計や運用における信頼性指標の注意点について、まず、信頼性指標はシステムの目的や要求に応じて選択する必要があります。すべての指標を高めることはコストや労力がかかりますし、必要以上に高い信頼性を求めると、柔軟性や拡張性が低下する可能性があります。

 次に、信頼性指標は定期的に測定し、分析し、改善する必要があります。測定方法や測定時期は事前に明確に決めておき、測定結果は記録しておきます。測定結果からは、システムの弱点や問題点を特定し、原因分析や対策立案を行います。改善策は実施後に効果検証を行い、必要に応じて修正します。

 以上のように、信頼性指標はシステム設計や運用において重要な役割を果たしますが、適切な選択や管理が必要です。信頼性指標を理解し、活用することで、システムの品質やパフォーマンスを向上させることができます。

 

 

|まとめ

 以上、コンピュータシステムの信頼性指標について解説しました。

 信頼性指標とは、システムが正常に稼働する確率や、故障が発生した場合の復旧までの時間を示す指標です。信頼性指標は、システムの設計や開発、運用において、システムの信頼性を評価する上で重要な役割を果たします。

 信頼性指標には、さまざまな種類があります。システムの特性や目的に合わせて、適切な指標を選択することが重要です。また、信頼性指標を活用する際には、指標の選択やデータの収集、指標の解釈など、さまざまな点に注意する必要があります。

 

 基本情報技術者試験では、信頼性指標に関する問題が出題される可能性があります。ぜひ、この記事を参考にして、システムの信頼性指標の基礎知識を理解しましょう。

 

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