リスキリング｜情報技術者への歩み、デジタルを使う側から作る側へ

作者:栢木厚
技術評論社

｜オペレーティングシステム（Operating System：OS）の８つの管理機能

　オペレーティングシステムとは、コンピュータのハードウェアを管理し、ユーザやアプリケーションに対してサービスを提供するソフトウェアのことです。オペレーティングシステムは、コンピュータの利用を効率化するために、８つの管理機能が備わっています。

①ジョブ管理

　ジョブ管理とは、コンピュータに与えられた作業（ジョブ）を効率的に処理するために、ジョブの優先順位や実行順序を決めたり、複数のプログラムを同時に実行できたり、ジョブの進行状況や結果を監視したりする機能です。

　ジョブ管理には、スケジューリングやディスパッチングなどの技術が用いられます。

②タスク管理

　タスク管理とは、ジョブをさらに細かい単位（タスク）に分割し、複数のタスクを同時にまたは交互に実行するために、タスクの割り当てや切り替えを行う機能です。タスク管理は、プログラムの内部で実行される処理を単位として管理し、タスクの優先度を決めたり、CPUやメモリなどのリソースを割り当てたりすることで、プログラムの実行を効率化します。

　タスク管理には、マルチプログラミングやマルチタスキングなどの技術が用いられます。

③データ管理

　データ管理とは、コンピュータに保存されたデータを保護し、効率的に利用するために、データの格納場所や形式を決めたり、データの読み書きや移動を行ったりする機能です。データの保存場所やアクセス方法を決めたり、データの安全性を保つための機能を提供したりすることで、データの管理を効率化します。

　データ管理には、ファイルシステムやデータベースシステムなどの技術が用いられます。

④入出力管理

　入出力管理とは、コンピュータと外部装置（キーボードやマウス、プリンターなど）との間でデータのやり取りを行うために、入出力装置の制御や調整を行う機能です。ハードウェアとソフトウェアの入出力処理の仲介をすることで、入出力処理を効率化します。

⑤記憶管理

　記憶管理とは、コンピュータの記憶装置（主記憶や補助記憶）を効率的に利用するために、記憶領域の割り当てや解放を行う機能です。メモリの使用状況を管理したり、メモリの割り当てや回収を行ったりして、メモリの利用を効率化します。

　記憶管理には、仮想記憶やページングなどの技術が用いられます。

⑥通信監理

　通信監理とは、コンピュータ同士やコンピュータと外部ネットワークとの間でデータのやり取りを行うために、通信路の確保や切断を行ったり、通信プロトコルや通信速度を決めたりする機能です。ネットワーク通信の接続や切断、データの送受信を管理することで、ネットワーク通信を効率化します。

　通信監理には、TCP/IPやHTTPなどの技術が用いられます。

⑦運用／ユーザ管理

　運用／ユーザ管理とは、コンピュータの利用者（運用者やユーザ）が安全かつ快適にコンピュータを使用できるように、利用者の登録や認証を行ったり、利用者ごとに利用可能なリソースや権限を決めたりする機能です。コンピュータのセキュリティやパフォーマンスの管理、ユーザのアカウントや権限の管理などを行います。

　運用／ユーザ管理には、パスワードやアカウントなどの技術が用いられます。

⑧障害管理

　障害管理とは、コンピュータの動作に異常が発生した場合に、障害の原因を特定し、復旧や回復を行う機能です。ハードウェアやソフトウェアの障害を検知して、障害の拡大を防止したり、障害の復旧を行ったりします。

　障害管理には、バックアップやリカバリなどの技術が用いられます。

　これらの8つの管理機能は、OSの基本的な機能です。OSの種類やバージョンによって、これらの機能の名称や実装方法は異なる場合がありますが、OSがコンピュータを効率的に利用できるようにするためには、これらの機能が不可欠です。

作者:高橋京介
SBクリエイティブ

｜ミドルウェア（middleware）の役割

　オペレーティングシステムは、ミドルウェアと呼ばれるソフトウェアを介して、アプリケーションとハードウェアの間のインターフェースを提供します。ミドルウェアの役割は、大きく分けて以下の3つです。

①OSとアプリケーションソフトウェアの相互運用性の向上

　ミドルウェアは、OSとアプリケーションソフトウェアの間の違いを吸収することで、両者の相互運用性を向上させます。これにより、OSやアプリケーションソフトウェアの変更に影響されにくくなり、システムの安定性を高めることができます。

②アプリケーションソフトウェアの開発や運用を効率化する

　ミドルウェアは、アプリケーションソフトウェアの開発や運用を効率化する機能を提供することで、アプリケーションソフトウェアの開発や運用にかかるコストや時間を削減することができます。

③システムのセキュリティやパフォーマンスを向上させる

　ミドルウェアは、システムのセキュリティやパフォーマンスを向上させる機能を提供することで、システムの安全性を高めたり、システムのパフォーマンスを向上させたりすることができます。

　また、ミドルウェアには、さまざまな種類があり、以下のように分類できます。

■シェル

　シェルとは、ユーザーがオペレーティングシステムに対してコマンドを入力したり、結果を表示したりするための橋渡し役としてのインターフェースで、ユーザからの操作を受け付けたり、OSの機能をユーザに提供したりするソフトウェアです。

　シェルには、コマンドラインシェルとグラフィカルシェルの2種類があります。コマンドラインシェルは、文字列でコマンドを入力してオペレーティングシステムの機能を操作します。グラフィカルシェルは、アイコンやメニューなどのGUI（Graphical User Interface）を介してオペレーティングシステムの機能を操作します。

■API（Application Program Interface）

　APIとは、アプリケーションがオペレーティングシステムの機能やサービスを利用するためのインターフェースです。APIは、オペレーティングシステムが提供する関数やデータ構造などを定義したものであり、アプリケーションはこれらを呼び出すことで、ファイル操作やメモリ管理などを行うことができます。

　APIは、オペレーティングシステムによって提供される標準APIと、アプリケーションソフトウェアベンダーによって提供される非標準APIの2種類があります。標準APIは、さまざまなアプリケーションソフトウェアで利用できる共通のインターフェースです。非標準APIは、特定のアプリケーションソフトウェアでのみ利用できる独自のインターフェースです。

■コンポーネントウェア

　コンポーネントウェアとは、アプリケーションが再利用可能なソフトウェア部品（コンポーネント）を組み合わせて作成できるようにする技術です。コンポーネントウェアは、オブジェクト指向や分散処理などの概念に基づいており、コンポーネント間の相互作用や管理を行うためのインターフェースや規約を定めています。

　コンポーネントウェアは、アプリケーションソフトウェアの開発や運用を効率化するために利用されます。コンポーネントウェアには、データベースコンポーネント、ネットワークコンポーネント、セキュリティコンポーネントなどのさまざまな種類があります。

■ライブラリ

　ライブラリとは、再利用可能なソフトウェアコードの集合です。ライブラリは、アプリケーションソフトウェアの開発や運用を効率化するために利用され、汎用的な機能や処理をまとめたソフトウェア部品で、以下のように分類できます。

ソースライブラリ

　ソースライブラリとは、プログラムのソースコード形式として提供されるライブラリです。ソースライブラリは、アプリケーションと一緒にコンパイルされて実行ファイルに組み込まれます。また、ソースコードを修正して、アプリケーションソフトウェアに組み込むことができます。

オブジェクトライブラリ

　オブジェクトライブラリとは、プログラムのオブジェクトコード（機械語）として提供されるライブラリです。オブジェクトコードをアプリケーションソフトウェアにリンクすることで、アプリケーションソフトウェアに組み込むことができます。

ロードモジュールライブラリ

　ロードモジュールライブラリとは、実行時に動的にロードされるプログラムのロードモジュール（実行可能な単位）として提供されるライブラリです。ロードモジュールライブラリは、アプリケーションが実行中に動的に読み込まれて利用され、アプリケーションソフトウェアの実行時に、必要に応じてロードすることで、アプリケーションソフトウェアのサイズを小さくすることができます。

■DLL（Dynamic Link Library）

　DLLとは、ロードモジュールライブラリの一種であり、Windows オペレーティングシステムで広く用いられるものです。DLLは、拡張子が「.dll」となっており、アプリケーションから呼び出されるとメモリにロードされて機能を提供します。DLLは、アプリケーションソフトウェアによって共有されるライブラリで、複数のアプリケーションから共有されることができるため、メモリやディスクの節約になります。また、アプリケーションソフトウェアごとにDLLを個別に用意する必要がないため、システムの効率化につながります。

作者:栢木厚
技術評論社

｜オペレーティングシステムの種類と特徴

　オペレーティングシステムは、コンピュータのハードウェアとソフトウェアを仲介するソフトウェアです。OSは、コンピュータの利用を効率化するためにさまざまな機能を提供するため、利用されるコンピュータの種類や用途によって、さまざまな種類に分けられます。

汎用機用OS

　汎用機用OSとは、大規模なデータ処理や業務処理を行うために設計されたコンピュータ（汎用機）に搭載されるオペレーティングシステムのことです。汎用機用OSは、高い信頼性やセキュリティ、パフォーマンスを備えており、複数のユーザーが同時に利用できるようにマルチタスクやマルチユーザー機能をサポートしていて、科学技術計算やデータベース処理など、さまざまな用途に利用されます。

　代表的な汎用機用OSには、IBMの「z/OS」やHPの「HP-UX」などがあります。

ワークステーションのOS

　ワークステーションのOSとは、高性能なグラフィックスや計算能力を必要とする専門的な作業を行うために設計されたコンピュータ（ワークステーション）に搭載されるオペレーティングシステムのことです。ワークステーションのOSは、科学技術計算やCAD/CAMなどの分野で広く利用されており、高い拡張性や互換性を備えています。

　代表的なワークステーションのOSには、「UNIX系のOS」や「Windows NT系のOS」などがあります。

パソコンのOS

　パソコンのOSとは、一般的な個人や家庭で利用されるパーソナルコンピュータ（PC）に搭載されるオペレーティングシステムのことです。パソコンは、個人や家庭、オフィスなどで幅広く利用されています。パソコンのOSは、文書作成やインターネット閲覧などの日常的な作業を行うために設計されており、汎用機用OSやワークステーション用OSに比べて、価格が安く、操作が容易であることが特徴です。

　代表的なパソコンのOSには、「MicrosoftのWindows」や「AppleのmacOS」、「Linux系のOS」などがある。

作者:高橋京介
SBクリエイティブ

｜代表的なOS：各種類の代表的なOSとその特徴を解説する。

■デスクトップOS

　デスクトップOSとは、パーソナルコンピュータやノートパソコンなどのデスクトップ環境で使用されるオペレーティングシステムのことです。

＜デスクトップOSの特徴＞

・グラフィカルユーザーインターフェース（GUI）を備えており、マウスやキーボードなどの入力機器で操作できます。

・複数のアプリケーションを同時に実行できるマルチタスク機能を持ちます。

・ネットワークやインターネットに接続できる通信機能を持ちます。

・ファイルやフォルダなどのデータを管理できるファイルシステムを持っています。

　代表的なデスクトップOSとしては、以下のものが挙げられます。

Windows

　Windowsは、Microsoft社が開発・販売しているデスクトップOSです。世界中で最も普及しているオペレーティングシステムであり、多くのハードウェアやソフトウェアに対応しています。　Windowsには、さまざまなバージョンがありますが、最新版は「Windows11」です。

＜Windowsの特徴＞

・豊富なアプリケーションやドライバが利用できます。

・セキュリティやパフォーマンスが向上しています。

・タブレットやタッチパネルなどのデバイスにも対応しています。

・グラフィカルユーザーインターフェース（GUI）を採用しており、操作が容易である。

macOS

　macOSは、Apple社が開発・販売しているデスクトップOSです。Apple社製のMacintosh（Mac）というコンピュータ専用に作られたオペレーティングシステムであり、美しいデザインや使いやすさが評価されています。macOSには、さまざまなバージョンがありますが、最新版は「macOS Monterey」です。

＜macOSの特徴＞

・iPhoneやiPadなどのiOSデバイスと連携できます。

・SiriやFaceTimeなどの独自の機能が利用できます。

・セキュリティや安定性が高いです。

・洗練されたデザインのGUIを採用している。

・マルチメディア処理に優れている。

Linux

　Linuxとは、オープンソースで開発されたデスクトップOSです。誰でも自由に改変や配布ができるオペレーティングシステムであり、多くの開発者や企業に支持されています。Linuxには、さまざまな種類がありますが、代表的なものとしては「Ubuntu」や「Fedora」などがあります。

＜Linuxの特徴＞

・カスタマイズ性に優れている。

・軽量で高速に動作します。

・セキュリティや信頼性が高いです。

■モバイルOS

　モバイルOSとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスで動作するオペレーティングシステムのことです。モバイル機器は、個人や家庭、ビジネスなど、さまざまなシーンで利用されており、モバイルOSはタッチスクリーンやジャイロセンサーなどのハードウェアに対応し、インターネットやカメラなどの機能を提供しています。

　モバイルOSには、以下の3つの代表的なOSがあります。

iOS

　iOSは、Apple社が開発したモバイルOSで、Apple社製のiPhoneやiPadなどのデバイスで動作します。iOSは、シンプルで洗練されたデザインや使いやすい操作性が特徴です。また、App Storeというアプリケーションストアから、多数のアプリをダウンロードできます。iOSは、セキュリティやプライバシーにも優れており、安全に利用できます。

＜iOSの特徴＞

・洗練されたデザインのGUIを採用している。

・セキュリティ機能が充実している。

・マルチタスク処理に優れている。

Android

　Androidは、Google社が開発したモバイルOSで、SamsungやHuaweiなどのさまざまなメーカーのデバイスで動作します。Androidは、カスタマイズ性が高く、自分好みに設定や変更ができることが特徴です。また、Google Playというアプリケーションストアから、多数のアプリをダウンロードできます。Androidは、オープンソースであるため、開発者が自由に改良や改造ができます。

＜Androidの特徴＞

・オープンソースで開発されている。

・カスタマイズ性に優れている。

・マルチタスク処理に優れている。

Chrome OS

　Chrome OSは、Google社が開発したモバイルOSで、ChromeブラウザをベースとしたOSであり、Webアプリケーションを主に利用します。Chromebookというノートパソコン型のデバイスで動作します。Chrome OSは、インターネットブラウザであるChromeを中心に構成されており、クラウドサービスやWebアプリを利用することが特徴です。また、Google PlayからAndroidアプリもダウンロードできます。Chrome OSは、軽量で高速に動作し、セキュリティや更新も自動的に行われます。

＜Chrome OSの特徴＞

・セキュリティ機能が充実している。

・動作が軽快である。

・メンテナンスが容易である。

■組み込みOS

　組み込みOSとは、家電製品や自動車、産業機器などの組み込み機器に搭載されるオペレーティングシステムのことです。組み込み機器は、特定の用途に特化しており、OSにもその用途に応じた機能が求められます。組み込みOSは、リアルタイム性や省電力性などの要求に応えるために、高いパフォーマンスや信頼性を持ちます。

　組み込みOSには、以下の3つの代表的なOSがあります。

Windows Embedded

　Windows Embeddedとは、Microsoft社が開発した組み込みOSです。Windows Embeddedは、Windows OSの一部をカスタマイズして組み込み機器に適用したもので、Windows OSとの互換性や開発効率が高いという特徴があります。Windows Embeddedは、ATMや自動販売機などの産業用機器や、XboxやZuneなどのエンターテイメント機器に広く利用されています。

＜Windows Embeddedの特徴＞

・WindowsのGUIを採用しており、操作が容易である。

・アプリケーションソフトウェアの種類が豊富である。

・セキュリティ機能が充実している。

Linux Embedded

　Linux Embeddedとは、Linux カーネルをベースにした組み込みOSです。Linux Embeddedは、オープンソースであるために、自由にカスタマイズや改良ができるという特徴があります。Linux Embeddedは、ルーターやスマートテレビなどのネットワーク機器や、Android OSなどのモバイル機器に多く利用されています。

＜Linux Embeddedの特徴＞

・カスタマイズ性に優れている。

・セキュリティ機能が充実している。

・安定性が高く、動作が軽快である。

QNX

　QNXとは、カナダのQNX Software Systems社が開発した組み込みOSです。QNXは、マイクロカーネルアーキテクチャを採用しており、高い安全性や信頼性を持つという特徴があります。QNXは、医療機器や航空機器などの安全性が重要な機器や、BlackBerry OSなどのモバイル機器に利用されています。

＜QNXの特徴＞

・リアルタイム処理に優れている。

・安全性が求められる用途に適している。

・動作が軽快である。

作者:高橋京介
SBクリエイティブ

｜OSの分類

　OSは、利用されるコンピュータの種類や用途によって、さまざまな種類に分けられます。ここでは、代表的な5つの種類のOSについて、その特徴を解説します。

メインフレーム用OS

　メインフレーム用OSとは、大規模なデータ処理やトランザクション処理を行うために設計されたオペレーティングシステムです。メインフレームは、科学技術計算やデータベース処理など、さまざまな用途に利用されます。メインフレーム用OSは、高い信頼性やセキュリティ、パフォーマンスを備えており、多数のユーザーやプログラムを同時にサポートできます。

　メインフレーム用OSの例としては、「IBM」の「z/OS」や「Linux on Z」などがあります。

ミッドレンジコンピュータ用OS

　ミッドレンジコンピュータ用OSとは、メインフレームよりも小規模ながらも、パーソナルコンピュータよりも高い性能や機能を持つコンピュータに搭載されるオペレーティングシステムです。ミッドレンジコンピュータは、データベース処理やワークステーションなど、さまざまな用途に利用されます。ミッドレンジコンピュータ用OSは、メインフレーム用OSに比べると小規模ですが、それでも高性能で信頼性が高く、複数のユーザが同時に利用できるように設計されています。

　ミッドレンジコンピュータ用OSの例としては、「UNIX」や「Linux」などがあります。

パーソナルコンピュータ用OS

　パーソナルコンピュータ用OSとは、個人や家庭、オフィスなどで使用される一般的なコンピュータに搭載されるオペレーティングシステムです。パーソナルコンピュータ用OSは、メインフレーム用OSやミッドレンジコンピュータ用OSに比べて、価格が安く、操作が容易であることが特徴です。また、グラフィカルユーザーインターフェース（GUI）を備えていることが一般的です。パーソナルコンピュータ用OSは、ユーザーに親しみやすいグラフィカルユーザーインターフェース（GUI）を提供し、様々なアプリケーションソフトウェアを実行できます。

　パーソナルコンピュータ用OSの例としては、「Microsoft Windows」や「macOS」などがあります。

モバイルデバイス用OS

　モバイルデバイス用OSとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスに搭載されるオペレーティングシステムです。モバイルデバイスは、個人や家庭、ビジネスなど、さまざまなシーンで利用されています。モバイルデバイス用OSは、パーソナルコンピュータ用OSに比べて、小型で軽量であることが特徴です。また、省電力化やタッチパネル操作への対応など、モバイルデバイスの特徴に合わせた機能が備わっています。

　モバイルデバイス用OSの例としては、「Android」や「iOS」などがあります。

組み込みシステム用OS

　組み込みシステム用OSは、家電製品や自動車、産業機器などの組み込みシステムに搭載されるオペレーティングシステムです。組み込みシステムは、特定の用途に特化しており、OSにもその用途に応じた機能が求められます。組み込みシステム用OSは、リアルタイム性や省電力性などの要求に応えられるように設計されており、小型で軽量であることが特徴です。また、リアルタイム処理や安全性などの機能が備わっています。

　組み込みシステム用OSの例としては、「RTOS」や「Linux」などがあります。

作者:栢木厚
技術評論社

｜オペレーティングシステムの選び方

　オペレーティングシステムは、ユーザーとハードウェアの間のインターフェースとして働き、アプリケーションの実行やファイルの管理などを行うため、利用されるコンピュータの種類や用途によって、さまざまな種類に分けられます。そのため、自分の利用目的や用途に合ったオペレーティングシステムを選ぶことが大切になります。

使用用途

　オペレーティングシステムは、使用する目的に応じて適切なものを選ぶ必要があります。

　個人や家庭で利用する場合は、パーソナルコンピュータ用OSが適しています。パーソナルコンピュータ用OSは、価格が安く、操作が容易であり、グラフィカルユーザーインターフェース（GUI）を備えています。

　ビジネスで利用する場合は、パーソナルコンピュータ用OSに加えて、サーバー用OSや組み込みシステム用OSが適している場合があります。サーバー用OSは、信頼性やセキュリティが重視される用途に適しています。組み込みシステム用OSは、特定の用途に特化した機能が備わっているため、その用途に適したシステムを構築するために利用されます。

　また、ゲームや動画編集などの高性能な処理が必要な場合は、WindowsやmacOSの最新バージョンや、ゲーム専用のオペレーティングシステム（SteamOSなど）を選ぶと良いでしょう。

ハードウェアのスペック

　オペレーティングシステムは、動作するために一定のハードウェアの性能を要求します。

　Windows 10では、最低でも1GHz以上のプロセッサと1GB以上のメモリーが必要です。また、macOS Big Surでは、最低でも2GHz以上のプロセッサーと4GB以上のメモリーが必要です。このように、オペレーティングシステムを選ぶ際には、自分のコンピュータのハードウェアが対応しているかどうかを確認することが重要となります。

　高性能なハードウェアを搭載したコンピュータを使用する場合は、高性能なOSを選ぶ必要がありますし、グラフィック処理や動画編集など、特定の用途に特化した処理を行う場合は、その用途に適したOSを選ぶ必要があります。ハードウェアの性能が不足している場合は、オペレーティングシステムの動作が遅くなったり、エラーが発生したりする可能性が出てきます。

価格

　オペレーティングシステムには、有料と無料のものがあります。

　有料のオペレーティングシステムには、WindowsやmacOSなどがあり、ライセンス料やアップグレード料を支払う必要があります。無料のオペレーティングシステムには、LinuxやFreeBSDなどがあり、ダウンロードやインストールに費用がかかりません。ただし、無料のオペレーティングシステムは、有料のものに比べてサポートや互換性が劣る場合があり、一部のアプリケーションやドライバーが動作しない可能性も出てきます。そのため、オペレーティングシステムを選ぶ際には、自分の予算やニーズに合わせて慎重に判断することが必要となります。

作者:高橋京介
SBクリエイティブ

｜まとめ

　以上、オペレーティングシステムの種類と特徴について解説しました。

　オペレーティングシステムは、コンピュータの基本的なソフトウェアであり、ハードウェアとアプリケーションの間にあって、コンピュータの動作を管理します。オペレーティングシステムには、主にWindows、Mac OS、Linuxなどのデスクトップ用のものと、Android、iOSなどのモバイル用のものがあります。それぞれには、利用者のニーズや目的に応じて選ぶことができる特徴やメリット・デメリットがあります。オペレーティングシステムを理解することは、コンピュータの仕組みや機能を深く知るためにも重要です。

作者:栢木厚
技術評論社