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記憶管理(OSの役割と機能)についてわかりやすく解説
- |はじめに
- 1.記憶管理とは?
- 2.格納場所を管理する実記憶管理について
- 3.区画方式とは?(パーティション)
- 4.セグメント方式とは?(オーバレイ)
- 5.スワッピング方式とは?
- 6.仮想空間を管理する仮想記憶管理について
- 7.ページ置き換えアルゴリズムとは?(リプレースメント)
- 8.動的アドレス変換機構とは?(DAT:dynamic address translation)
- 9.スラッシングとは?(thrashing)
- |おわりに
|はじめに
今回はオペレーティングシステム(OS)の重要な機能の一つである「記憶管理」に焦点を当て、その役割や機能について分かりやすく解説していきます。
コンピュータが複数のプログラムやデータを同時に処理するためには、メモリの適切な管理が欠かせません。ここでは、オペレーティングシステムがどのようにメモリを管理し、それによってどのような利点が生まれるのかを探ります。また、基本情報技術者試験においても頻出のテーマなので、しっかりと理解しておくことで試験対策にもなるでしょう。
1.記憶管理とは?
記憶管理は、コンピューターシステムがプログラムやデータを主記憶装置(メモリ)に格納し、取り出すプロセスを効率的に制御するための仕組みです。主記憶装置は、プログラムやデータを一時的に格納する重要な装置ですが、容量には限りがあります。記憶管理は、以下の2つの主要な機能によって実現されます。
・実記憶管理:
主記憶装置の空き領域を管理し、プログラムやデータを必要なタイミングで読み書きする
・仮想記憶管理:
主記憶装置と補助記憶装置(ハードディスクなど)を連携して、プログラムやデータをあたかも主記憶装置にすべて格納されているかのように扱う
①実記憶管理と仮想記憶管理の違いとは?
実記憶管理は、シンプルで実装が容易ですが、メモリ使用効率が低くなります。一方、仮想記憶管理は、メモリ使用効率が高くなりますが、複雑で実装が難しくなります。実記憶管理と仮想記憶管理では、このメモリの管理アプローチにおいて重要な違いがあります。
実記憶管理は、主記憶装置を物理的な単位で管理する方法で、物理メモリ(RAM)を直接扱います。プログラムやデータは、主記憶装置の具体的なアドレスに割り当てられ、コンピュータの物理的なメモリ領域内にプログラムやデータを配置します。
これに対して、
仮想記憶管理は、主記憶装置と補助記憶装置を連携して、プログラムやデータをあたかも主記憶装置にすべて格納されているかのように扱う方法で、物理メモリと裏付けられた補助記憶(通常はディスク)の組み合わせを使用します。プログラムやデータは、仮想アドレスと呼ばれる論理的なアドレスで管理され、必要に応じて主記憶装置と補助記憶装置間で転送されるため、必要なときにデータを物理メモリに読み込むことで、より大きなプログラムを実行できるようになります。
②メモリリークとは?
メモリリークは、プログラムが動作している間に使用したメモリを正しく解放せず、そのままにしてしまう問題です。これはプログラムの設計や実装の不備によって発生します。メモリリークが発生すると、システムのメモリが徐々に尽きていき、最終的には予期せぬエラーやクラッシュが引き起こされる可能性があります。
メモリリークを防ぐためには、開発者が動的に割り当てたメモリを使用後に解放するプロセスを確実に組み込む必要があります。これにより、不必要なメモリの占有を防ぎ、システムの安定性を確保できます。
メモリリークが発生すると、以下の問題が発生する可能性があります。
・メモリ使用量が増加し続け、コンピュータが動作速度が遅くなる
・メモリ不足により、プログラムが異常終了する(メモリ不足によるエラー発生)
・システムエラーが発生する(システムクラッシュ)
・コンピュータがフリーズする
メモリリークを防ぐためには、以下の対策があります。
・プログラミング言語の機能やライブラリを活用して、メモリ領域を確実に解放する
・メモリ使用量を監視するツールを使用して、メモリリークを検知する
2.格納場所を管理する実記憶管理について
①論理アドレスから物理アドレスへの変換とは?
実記憶管理において、論理アドレスと物理アドレスの変換は重要なプロセスです。論理アドレスはプログラムが見るメモリのアドレスであり、物理アドレスは実際のメモリ上のアドレスです。変換は、プログラムが必要なデータや命令を物理メモリ上で正確に特定できるようにします。
この変換プロセスには、メモリマネージャが関与します。メモリマネージャは、論理アドレスを物理アドレスに対応づけ、プログラムが適切にメモリを利用できるようにします。この変換処理は、メモリ管理装置(MMU)と呼ばれるハードウェアによって行われます。
メモリ管理装置(MMU)は、以下の2つの情報を用いて論理アドレスを物理アドレスに変換します。
・ページテーブル:論理アドレスと物理アドレスの対応関係を記述したテーブル
・ベースレジスタ:論理アドレス空間の開始アドレスを格納するレジスタ
変換処理は、以下の手順で行います。
1.論理アドレスをページ番号とオフセットに分割します。
2.ページテーブルから、ページ番号に対応する物理ページフレーム番号を取得します。
3.物理ページフレーム番号とオフセットを組み合わせて、物理アドレスを計算します。
②再配置可能プログラムとは?
再配置可能プログラムは、メモリのどこに配置されても正常に動作するように設計されたプログラムです。これは実記憶管理の柔軟性を高め、異なる条件下でプログラムが実行される際にも適応できるようにします。再配置可能プログラムは、ベースアドレッシングを利用しています。プログラムが実行される場所によってベースアドレスが変わり、それに基づいて論理アドレスが物理アドレスに変換されます。
再配置可能プログラムを実現するために、以下の2つの技術が用いられます。
・相対アドレス:プログラム内のアドレスを、プログラムの先頭からの相対的な位置で表す方法
相対アドレスを使用することで、プログラムをメモリ上の任意の場所に配置しても、プログラムが正しく動作するようにすることができます。
・リロケータブルリンカ:プログラムの実行前に、プログラム内のアドレスを修正するリンカ
リロケータブルリンカは、プログラムの実行前に、プログラム内の相対アドレスを、プログラムが実際に配置される場所に基づいて修正します。
③ベースレジスタとは?
ベースレジスタは、再配置可能プログラムにおいて、論理アドレスを変換するのに使われるレジスタです。ベースレジスタにはベースアドレスが格納され、このアドレスが物理メモリ上でのプログラムの配置位置を示します。ベースレジスタを使用することで、プログラムが物理メモリ内でどの位置に配置されているかを意識することなく、論理アドレスを使ってメモリにアクセスできます。
3.区画方式とは?(パーティション)
区画方式は、主記憶装置(メモリ)を複数の区画(パーティション)に分割し、それぞれの区画を異なる目的で使用する方法です。区画方式は、メモリを効率的に利用し、異なるプログラムやデータを安全に分離するために使用されます。
①固定区画方式と可変区分方式の違いとは?
固定区画方式は、メモリを同じサイズのパーティションに分割する方式です。各プロセスには同じサイズの領域が割り当てられます。これに対して、可変区分方式では、プロセスに必要なだけメモリを割り当てることができます。柔軟性が高い反面、メモリの断片化が生じる可能性があります。
固定区画方式は、シンプルで実装が容易ですが、メモリ使用効率が低くなります。一方、可変区分方式は、メモリ使用効率が高くなりますが、複雑で実装が難しくなります。
【2つの主な違い】
・項目:固定区画方式
・区画サイズ:事前に固定
・メモリ使用効率:低い
・複雑性:低い
ーーーーーーー
・項目:可変区分方式
・区画サイズ:動的に変更
・メモリ使用効率:高い
・複雑性:高い
・固定区画方式:各区画のサイズを事前に固定しておく方式です。各区画は、プログラムやデータの種類によって割り当てられます
・可変区分方式:プログラムやデータの要求に応じて区画のサイズを動的に変更できる方式です。メモリ使用効率が向上しますが、複雑で実装が難しいというデメリットがあります
②記憶領域の断片化とは?(フラグメンテーション)
記憶領域の断片化(フラグメンテーション)は、記憶領域が小さな空き領域と使用済み領域に分割されて小さな断片に分かれてしまう現象を指します。記憶領域の断片化は、メモリ使用効率の低下やプログラム実行速度の遅延を引き起こします。これには外部フラグメンテーションと内部フラグメンテーションの2つの主なタイプがあります。
・外部フラグメンテーションは、未割り当て領域が小さな断片に分かれることで、大きな領域の割り当てができなくなる問題です
・内部フラグメンテーションは、割り当てられた領域が必要以上に大きい場合に生じます
【フラグメンテーションの原因】
・可変区分方式におけるメモリ割り当てと解放の繰り返し
・固定区画方式における区画サイズの不適切な設定
【フラグメンテーションの対策】
・デフラグツールによる空き領域の統合
・可変区分方式におけるメモリ割り当てアルゴリズムの改良
・固定区画方式における区画サイズの適切な設定
③コンパクションとは?
コンパクションは、外部フラグメンテーションを解消する手段の一つで、メモリ使用効率を向上させ、プログラム実行速度を向上させることができます。未割り当て領域をまとめて一つの大きな領域にすることで、大きな領域を割り当てることが可能になります。ただし、これは比較的高いコストがかかる処理です。
【コンパクションを行う場合】
・メモリ使用効率が低下している
・プログラム実行速度が遅い
【コンパクションを行う方法】
・使用中のデータをまとめて移動する
・空き領域を整理する
【コンパクションのメリット】
・メモリ使用効率の向上
・プログラム実行速度の向上
【コンパクションのデメリット】
・処理時間が長くなる
・プログラムの実行を中断する必要がある
④ガーベジコレクションとは?
ガーベジコレクションは、プログラムが不要になったメモリ領域を解放するプロセスです。これにより、未使用のメモリが解放され、メモリの効率が向上します。ガーベジコレクションは、プログラム開発者の負担を軽減しメモリリークを防ぐことができるため、動的にメモリを確保・解放するプログラミング言語や環境で頻繁に使用されます。
【ガーベジコレクションを行う場合】
・プログラムが使用しなくなったオブジェクトを解放する
・メモリリークを防ぐ
【ガーベジコレクションを行う方法】
・参照カウンティング
・マークアンドスイープ
【ガーベジコレクションのメリット】
・プログラマーのメモリ管理負担を軽減する
・メモリリークを防ぐ
【ガーベジコレクションのデメリット】
・処理時間が長くなる
・プログラムの実行速度が低下する
4.セグメント方式とは?(オーバレイ)
セグメント方式は、プログラムやデータを論理的な単位であるセグメントと呼ばれる区画に分割し、必要に応じてセグメントを主記憶装置に読み込んで実行する方法です。セグメント方式は、プログラムサイズが大きい場合や、メモリ容量が小さい場合に有効です。
【セグメント方式の利点】
・プログラムサイズが大きい場合でも、メモリ容量が小さい環境で実行できる
・プログラムモジュールの独立性と再利用性を向上できる
・メモリ保護機能を提供できる
【セグメント方式の欠点】
・セグメント間の参照処理が複雑になる
・メモリ使用効率が低下する場合がある
①連係編集プログラムとは?
連係編集プログラムは、セグメント方式とオーバレイを活用してプログラムを実行する手法です。連係編集プログラムは、セグメント方式でプログラムを開発する場合に必要不可欠なツールです。
【連係編集プログラムの機能】
・セグメントの結合
・セグメント間の参照情報の修正
・実行可能ファイルの作成
これにはいくつかのステップが含まれています。
・セグメント方式の理解:
セグメント方式では、プログラムやデータを論理的な単位であるセグメントに分割します。各セグメントは独立して管理され、プログラムの柔軟な実行が可能です。
・オーバレイの利用:
オーバレイは、物理メモリに収められる容量よりも大きなプログラムを実行するための手法です。プログラムの異なる部分(オーバレイ)を必要に応じて切り替えながら実行します。
・連係編集プログラムの作成:
連係編集プログラムは、プログラムをセグメントに分割し、必要なオーバレイを動的に読み込んで実行します。これにより、大きなプログラムでも限られたメモリ容量で実行できるようになります。
この手法は、メモリが限られていた時代に特に有用であり、大規模なプログラムでも実行できるようになりました。しかし、近年ではコンピュータの性能向上により、オーバレイ技術の必要性が減少しています。
5.スワッピング方式とは?
スワッピング方式は、主記憶装置(メモリ)容量が不足した場合、使用していないプログラムやデータを補助記憶装置(ハードディスクなど)に一時的に退避し、必要なときに主記憶装置に読み込む方式です。スワッピング方式は、メモリ容量を拡張する仮想的な手段として利用されます。
【スワッピング方式の利点】
・メモリ容量を拡張できる
・複数のプログラムを同時に実行できる
・メモリ使用効率を向上できる
【スワッピング方式の欠点】
・主記憶装置と補助記憶装置間のデータ転送に時間がかかる
・プログラム実行速度が低下する場合がある
スワッピング方式は、限られたメモリ容量を最適に利用するための手法であり、動的なプロセスの実行に柔軟性を提供します。ただし、補助記憶へのアクセスがメモリよりも遅いため、パフォーマンスの低下が懸念されることもあります。
①スワップアウトとは?(ロールアウト)
スワップアウトは、メモリ上のプログラムやデータを補助記憶装置(通常はハードディスク)に退避させることを指します。これは主にメモリの不足時に利用され、アクティブでないプロセスやページを一時的に補助記憶に移動させます。
このプロセスはしばしばロールアウトとも呼ばれます。アウト(out)は外へ出すことを示しており、メモリからデータを外部の補助記憶に退避させるイメージです。
【スワップアウトを行う場合】
・メモリ容量が不足
・使用していないプログラムやデータがある
【スワップアウトを行う方法】
・使用していないプログラムやデータを特定
・データを補助記憶装置に転送
・主記憶装置からデータを削除
②スワップインとは?(ロールイン)
スワップインは、スワップアウトで補助記憶に移動させたプログラムやデータを再びメモリに戻すことを指します。プログラムの実行に必要なデータが主記憶装置に存在しない場合に実行されます。これはメモリが再び利用可能になったときや、ユーザーがそのデータを必要としたときに行われます。
このプロセスは一般的にロールインとも呼ばれます。イン(in)は内部に取り込むことを示しており、外部の補助記憶からデータを内部のメモリに戻すイメージです。
【スワップインを行う場合】
・プログラムの実行に必要なデータが主記憶装置に存在しない
・スワップアウトによって退避されたデータがある
【スワップインを行う方法】
・補助記憶装置からデータを読み込む
・主記憶装置にデータを転送
6.仮想空間を管理する仮想記憶管理について
仮想記憶管理は、主記憶装置(メモリ)と補助記憶装置(ハードディスクなど)を連携して、プログラムやデータをあたかも主記憶装置にすべて格納されているかのように扱う技術です。仮想記憶管理は、メモリ容量を拡張し、複数のプログラムを同時に実行するために有効な技術です。
①仮想記憶の特徴とは?
仮想記憶は、物理メモリよりも広範囲なアドレス空間をプロセスに提供する技術です。これにより、物理メモリよりも大きなプログラムやデータを扱うことができ、プロセスが必要とする部分だけを物理メモリにロードすることが可能です。これにより、同時に多くのプロセスを実行でき、効率的にメモリを利用できます。
【仮想記憶管理の特徴】
・メモリ容量の拡張: 主記憶装置の容量を超えるプログラムやデータを扱える
・マルチタスク処理: 複数のプログラムを同時に実行できる
・メモリ保護: プログラム同士が互いにアクセスできないように保護できる
・メモリ使用効率の向上: 使用していないメモリを他のプログラムに割り当てられる
②ページング方式の仮想記憶システムとは?
ページングは、プログラムやデータを固定サイズのページに分割し、物理メモリも同じサイズのフレームに分ける方式です。プロセスが要求するページは必要なときにだけメモリに読み込まれます。ページングは単純で効率的ですが、外部フラグメンテーションの問題があります。
ページング方式は、仮想記憶空間と主記憶装置をページと呼ばれる固定サイズの単位に分割し、ページテーブルと呼ばれるデータ構造を使用して仮想アドレスを物理アドレスに変換する方法で、ページング方式は、現代のオペレーティングシステムで広く採用されています。
【ページング方式の利点】
・メモリ使用効率が高い
・実装が比較的簡単
【ページング方式の欠点】
・ページテーブルの管理にオーバーヘッドが発生する
・ページフォールトが発生すると処理速度が低下する
③セグメントページング方式とは?
セグメントページングは、プログラムやデータを可変サイズのセグメントに分割し、各セグメントをページに分けて管理する方式です。これにより、柔軟にサイズが変わるデータを扱うことができます。セグメントページングはページングとセグメントのメリットを組み合わせたアプローチで、多様なプログラムの実行に適しています。
セグメントページング方式では、仮想記憶空間はセグメントと呼ばれる論理的な単位に分割され、さらに各セグメントはページと呼ばれる固定サイズの単位に分割されます。
【セグメントページング方式の利点】
・セグメント方式とページング方式の利点を活かせる
・メモリ保護機能を強化できる
【セグメントページング方式の欠点】
・実装が複雑になる
7.ページ置き換えアルゴリズムとは?(リプレースメント)
ページ置き換えアルゴリズムは、仮想記憶管理において、ページフォールトが発生した際に、主記憶装置からどのページを退避させるかを決定するアルゴリズムです。ページ置き換えアルゴリズムは、メモリ使用効率やプログラム実行速度に大きな影響を与える重要なアルゴリズムです。
①FIFO方式とは?(First In First Out)
FIFO(先入れ先出し)方式は、最も単純なページ置き換えアルゴリズムの一つです。最初にメモリに載せられたページが最初に外されます。新しいページが来ると、最も古いページを置き換えます。FIFOは理解しやすく、実装も簡単ですが、古いページが最も重要でない場合には非効率的で、最近使用されたページであっても退避させてしまう可能性があるため、メモリ使用効率が低下する場合があります。
【FIFO方式の利点】
・実装が簡単
【FIFO方式の欠点】
・メモリ使用効率が低下する場合がある
②LRU方式とは?(Least Recently Used)
LRU(最も最近使われていない)方式は、最後にアクセスされたページを最初に置き換えるアルゴリズムです。アクセスが最も古いページが最初に外されます。LRUは効率的ながらも実装が複雑であり、全てのページアクセスを記録する必要があります。この方法は実際の使用状況に基づいているため、より効果的なページ置き換えが期待できます。
メモリ使用効率を向上させることができますが、最近使用されたページであっても、アクセス頻度が低い場合に退避させてしまう可能性があります。
【LRU方式の利点】
・メモリ使用効率を向上できる
【LRU方式の欠点】
・最近使用されたページであっても、アクセス頻度が低い場合に退避させてしまう可能性がある
③LFU方式とは?(Least Frequently Used)
LFU(最も頻繁に使用されていない)方式は、一定の期間内で最も使用頻度が低いページを優先的に置き換えるアルゴリズムです。LFUはページの使用頻度を定期的にリセットする必要があります。使用頻度が高いページが頻繁にアクセスされる場合には効果的ですが、使用頻度が変動する場合には適していません。LRU方式よりもメモリ使用効率を向上させることができますが、実装が複雑になります。
【LFU方式の利点】
・LRU方式よりもメモリ使用効率を向上できる
【LFU方式の欠点】
・実装が複雑
8.動的アドレス変換機構とは?(DAT:dynamic address translation)
動的アドレス変換機構(DAT)は、仮想記憶システムにおいて使用される重要な概念の一つです。
DATは、プログラムが実行される際に仮想アドレスと物理アドレスとを対応付ける役割を果たします。通常、プログラムは仮想アドレスを使用してメモリにアクセスしますが、DATはこれを物理アドレスに変換し、正確なメモリの位置にアクセスできるようにします。これにより、複数のプログラムが同時にメモリを共有する際に、アドレスの競合を回避することができます。
DATは、ページテーブルと呼ばれるデータ構造を使用して、仮想アドレスと物理アドレスの対応関係を管理します。
【DATの利点】
・ページテーブルの管理をハードウェアで行うため、処理速度が向上する
・オペレーティングシステムの負担を軽減できる
【DATの欠点】
・ハードウェアが複雑になる
・実装コストが高くなる
9.スラッシングとは?(thrashing)
スラッシング(thrashing)は、コンピュータのメモリ管理において起こる現象の一つで、過剰なページングが原因で、実際には有益な計算を行う余裕がなくなる状態を指します。スラッシングが発生すると、システムのパフォーマンスが急激に低下し、多くの時間がページング処理に費やされてしまいます。これは主に、アクティブなページが物理メモリに存在しない場合に発生し、プログラムが頻繁にページの読み込みと書き込みを行うために起こります。
スラッシングは、ページフォールトが頻繁に発生し、プログラムの実行速度が著しく低下する現象で、メモリ容量が不足している場合や、ページ置き換えアルゴリズムが適切でない場合に発生します。
スラッシングを避けるためには、十分な物理メモリ容量を確保するか、効果的なページングアルゴリズムを使用することが重要です。
【スラッシングの原因】
・メモリ容量が不足している
・ページ置き換えアルゴリズムが適切でない
【スラッシングの対策】
・メモリ容量を増やす
・ページ置き換えアルゴリズムを変更する
|おわりに
これで、オペレーティングシステムの中でも特に重要な機能である「記憶管理」に関する解説は終わります。メモリはコンピュータが情報を格納し、処理するための要素であり、その管理はシステム全体のパフォーマンスに深く関わっています。
記憶管理は、OSの重要な役割の一つであり、コンピュータの動作速度や安定性に大きく影響します。実記憶管理と仮想記憶管理の2つの機能を理解することで、記憶管理を効率的に行うことができます。記憶管理においては、物理メモリと仮想メモリの概念、ページングやセグメンテーションといった技術が活用されています。これにより、複数のプログラムが同時に実行され、効率的にメモリが利用されるのです。
基本情報技術者試験をはじめとする様々な試験でも頻出のテーマですので、しっかりと理解しておくことが重要です。