ここでは、丸め誤差(浮動小数点形式の仮数部で発生する誤差)について解説します。
|丸め誤差とは?
浮動小数点形式では、実数を近似的に表現するため、仮数部のビット数に制約があります。この制約により、一部の実数は正確に表現できず、丸め誤差と呼ばれる誤差が生じることがあります。
丸め誤差は、実数を浮動小数点形式に変換する際に、仮数部のビット数に収まらない部分を切り捨てることによって生じます。例えば、0.1という実数を2進数の浮動小数点形式で表現しようとすると、限られたビット数で近似的に表現されます。その結果、正確な0.1とは異なる値が得られ、丸め誤差が発生します。
このような丸め誤差は、浮動小数点演算の連鎖や数値の演算結果の比較などで問題となることがあります。たとえば、連続した演算を行った場合、それぞれの演算で丸め誤差が累積していき、結果が本来の値とは異なる値になることがあります。また、浮動小数点数同士の比較や等価性の判定も、丸め誤差の影響を受けるため注意が必要です。
|丸め誤差を軽減させるには?
丸め誤差を軽減するための手法として、浮動小数点数の精度を高める方法や、丸めモードの選択、適切な数値の丸め方などがあります。プログラミング言語や数値計算ライブラリでは、これらの手法を採用して丸め誤差を最小限に抑えるよう努めています。
浮動小数点形式の仮数部で発生する丸め誤差は、数値計算において注意が必要な要素です。
正確な値が必要な場合や誤差が許容範囲を超える可能性がある場合は、適切な数値表現や演算方法を選択することが重要です。